消費者支援基金の目的

国民生活センター等に寄せられる消費者の苦情件数は1990年代初頭から増加傾向にあります。中でも、家庭訪問販売、電話勧誘販売、無料商法による被害、一度被害にあった人を狙う手口による二次被害、さらには架空請求などの電子商取引を用いた詐欺的商法の被害はとどまるところを知りません。日本において消費者被害が増大する主な理由としてサービス化、高齢化や情報化があげられますが、もしこうした社会的傾向が主な原因だとすれば、消費者被害は今後も益々増えていくことになります。情報化は秒進分歩で、高齢化は2015年のピークに向かって間違いなく進んでいるからです。

一方、今世紀に入り、企業の社会的責任(CSR)という問題がさまざまな形で議論され始めました。CSRとは、そこにおいて事業活動を展開する地域や社会が、さらには市民が、企業に対し何を期待しているかを把握し、その期待に企業が主体的に応えていくことです。この考え方に立てば、「消費者被害の深刻化」という日本社会の構造的問題が厳然として存在しているわけですから、まずはこの問題を解決するためのアクションを起こす必要があるのです。しかもこれは、ただ単に事業者だけに求める重要課題ではありません。企業と市民が力を合わせ、より良い日本社会を共に創っていくこと。これが、今、強く求められているのです。

こうした社会的要請の中、麗澤大学企業倫理研究センター(http://r-bec.reitaku-u.ac.jp/)によって提唱された構想を元に2004年11月26日に「消費者支援基金」が発足しました。設立の目的は、良識的な事業者と良識的な市民をつなぐ、言わば、善意と善意をつなぐところにあります。消費者支援基金は、事業者と消費者の掛け橋となり、公正かつ健全な市場、そして、より良い日本社会の建設に寄与することを目指しています。

↑ページトップへ

消費者団体訴訟制度と消費者支援基金

消費者契約法の改正が平成18年度通常国会において可決され、消費者団体訴訟制度が導入されることになりました。消費者団体訴訟制度では、一定の要件を備えた消費者団体が、消費者全体の利益を考え消費者の代表として、事業者の問題行為(不当な約款や不当な勧誘方法など)に関し是正を求めることができます。仮に是正に応じてもらえなければ、消費者団体訴訟制度に基づき、消費者団体は差止請求訴訟を提起することになります。消費者団体訴訟制度の確立の背景には、商品・サービスに関する消費者トラブルの増加、またそれに対する未然の防止・拡大防止策がこれまで十分でなかったことが挙げられます。また、消費者が事業者の行為の不当性を認識したとしても、多くの場合、その不当な行為の抑止を求める権利は認められないとされてきたことがあります。

しかし、消費者団体訴訟制度が日本において具体的に機能するためには、いくつかの問題を解決していかなければなりません。中でも重要な課題は、消費者団体訴権を行使する消費者団体の財政基盤をいかに健全なものにするか、という問題です。消費者団体訴訟制度が付与する権利は差止請求権に限定されるため、訴権を行使する消費者団体は、活発に活動すればするほど、訴訟費用や弁護士費用を負担せざるを得なくなります。つまり、制度は創設されても、制度自身が現実的に機能しない仕組みとなっているのです。

そこで、消費者支援基金によって、消費者団体を財政的に支援することが必要となってきます。現在、消費者支援基金は、消費者団体訴訟制度に係る裁判費用、消費者団体訴訟制度に関する諸活動(主に調査研究、事業者への改善提案、事業者との交渉)を助成対象活動と定めています。消費者支援基金の助成活動を通じて、消費者団体訴訟制度が活かされ、「より公正で公平な市場」が形作られていくと考えています。

↑ページトップへ

Copyright (C) 2004 消費者支援基金